気ままなけんしゅー医のブログ

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【115A57 産科危機的出血の出血量推定値】

血, 寄付, プラズマ, ドナー, 生活, 生物学, 輸血, 与える, 健康, 医療

115A57の解説です。

「分娩後の出血」という毎年1問は必ず出題されるテーマですね。

今回も弛緩出血、子宮内反症、胎盤破裂、頸管出血の鑑別かな~と思ったら…

出血量の推定値とは!

交通外傷の出血量の推定問題は、模試で問われたことがあったので本問もそのパータンか!と思って解きました。

ショック状態での出血量の推定にはショックインデックス(SI)を使うのでしたね。

SI=心拍数/収縮期血圧 で求めます。

 

本問は、心拍数120/分、収縮期血圧 80mmHgより、SI=120/80=1.5と計算されます。

このSIは一般的に循環血液量が5,000mLの場合、0.5<SI<1.0だと出血量は750mL未満、1.0<SI<1.5で出血量は750~1,500mL、1.5<SI<2.0で出血量は1,500~2,000mL、SIが2.0以上では出血量は2,000mL以上とされています。

よって、本問はSI=1.5より出血量の推定値は1,500mL 分かった答えはc!

としてしまうと間違えてしまいます!!!(私は完全これでした(笑))

なぜか…

それは先ほどのSIの説明で太字にした「循環血液量が5,000mLの場合」というのがポイントなんですね。

妊婦の場合は循環血液量が増加しているので、SIが1.0で1,500mL、SIが1.5で2,500mLの出血量と推定されているのですね。

これは、日本産科婦人科学会ほか:産科危機的出血への対応ガイドライン2016にもきちんと記載がありますね。

妊婦さんの場合は同じSIでも出血量が多く推定されるので迅速な対応が必要になるのですね。

これは実臨床でも役立つ知識だと思うのでしっかり覚えておこうと思います!

それにしても臨床現場重視な近年の臨床各論問題ですが、今回もそれに相応しい良問だったように感じます。

解答速報時の正答率が確か25%弱だったことから、多くの受験生がcの解答に引っかかってしまったのではないでしょうか。

今後も様々な問題を通して知識の範囲を広げておく必要がありそうですね。

 以上です!

 

 115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】