気ままなけんしゅー医のブログ

春から研修スタートの気ままな研修医のつぶやきブログです。

【115B48 プロラクチノーマの治療、ステロイドカバー】

 115B48の解説です。

必修臨床問題の解説ですね!115B7の解説の冒頭でも書いた通り、この必修の臨床問題の緊張感はハンパない!

1問3点の重圧…絶対に間違えてはならないという重圧…

実際、必修の各ブロックで臨床問題の4,5問を落としてしまっても合格点を下回ることはほとんどないのですが、試験本番ではそのような余裕もなかなか無くなってしまいますね。。

必修がメンタル勝負だ!といわれる所以が本当によくわかります。

さて解説といきましょうか!

「37歳女性、全身倦怠感と頭痛が主訴」の連問ですね。

この連問は115B47、48ともに私は解答に悩みました。

B47はシステムレビューの定義について知識が曖昧だったからです。

B48はbとeの選択肢で非常に悩んでしまいました。

試験中はどちらも間違えたものとしてカウントしていました。

初日であったことから、これはメンタル的になかなかきつかったです…

結果はB47は正解し、B48は誤答していました。

B47のシステムレビューについてはまた改めて記事を書こうかなと思っております。

今回は、115B48ですね。

病歴・検査所見をまとめると

「3か月前から無月経、食欲低下、半年で体重3kg減少、3か月前から便秘悪化、乳頭圧迫で白色乳汁分泌、両耳側半盲、コルチゾール低下、FT3,4低下、LH,FSH低下、プロラクチン上昇、頭部造影MRIで下垂体腺腫」

といったところでしょうか

乳汁漏出、プロラクチン上昇、MRI所見よりプロラクチノーマが最も考えやすそうですね。

ただ、コルチゾールの低下やLH,FSHの低下もあるため下垂体機能の低下もきたしていそうです。

従って治療方針としては、外科的療法に加え、下垂体機能の把握や副腎皮質ステロイドの投与が必要になってきそうです。

これらは、選択肢を読んでみても推定はできそうですね。

後は各選択肢の吟味が必要です。

さて公式解答はd。

発熱時には副腎皮質ステロイド減量ではなく、むしろ増量するのですね!

この考え方をステロイドカバー」というようです。

副腎不全治療において、発熱やストレス、重症疾患や手術時にはグルココルチコイド補充を行うようですね(参照:補充療法に用いられる合成ステロイドホルモン

このステロイドカバーについては、メックの解説でも触れられていましたが、まさかドンピシャで出題されるとは…

それも必修臨床とは国試恐ろしやですね…(笑)

一方、誤答選択肢として私はeを選んでしまいました。。

「副腎ステロイド補充開始後の尿崩症なんかしらないよ…」として切ってしまいました

よくよく調べてみたところ、これは副腎皮質ステロイドの副作用による症状ではなく、「仮面尿崩症」を示した選択肢なのかもしれません。

仮面尿崩症とは中枢性尿崩症に下垂体前葉機能低下を合併すると、グルココルチコイド欠乏による水利尿低下をきたし、尿量が見かけ上減少する病態です。(参照PDF

ほんとはおしっこが出るはずなのにグルココルチコイド欠乏によってマスク(仮面)されてしまった尿崩症というこなんですね。

この病態を有している際に、グルココルチコイドを補充すると尿崩症本来の多尿が顕在化することがあるので、出現に注意すべきってことみたいですね。

うーんなんとも複雑ですね。。

臨床の現場では常識なのかもしれませんが少なくとも私は知らなったし、そもそも選択肢の意味から副腎ステロイドの副作用についての内容ではないかと誤解してしまったみたいです。

いわゆる「必修脳」の状態でここまで病態のことを考えられた受験生はいたのでしょうか?

 まるで各論臨床問題のような深みのある問題なので今回解説した選択肢以外もチェックしておくと良いかもしれませんね。

とりあえずB問題の必修はこれで終わり!

以上です!

 

115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】