【115C28 妊婦への使用で羊水過少の原因となる薬剤について】
さて今回は他選択肢解答問題の解説になります!
国家試験の問題には一般・臨床問題と必修問題があるという話はこれまでにも解説してきましたが(→参考はこちら)
解答選択肢の数も、単選択肢問題「1つ選べ」以外にも、多選択肢問題「2つ選べ」「3つ選べ」も存在するんですね。
この多選択肢問題は必修問題には存在せず、一般・臨床問題のみに存在しています。
115回医師国家試験での内訳については別の記事で今後まとめようと思っております!
さて、この多選択肢問題ですが、一つが正しかったとしても、もう一方が誤っていた場合不正解となってしまいます。
つまり確実に分かる解答が2つ(ないしは3つ)存在しないと完全解答とはいかないんですね…
この問題形式は、復習する際には優れた形式なのですが、実際に試験を受けている際には、悩ましい選択肢が増えると、不安も増してしまうという厄介な問題でもあります。
確実に解答できるよう正しい知識をつけなければなりませんね!
長くなってしまいましたが、解説に移りますね!
【115C28 問題解説】
「羊水過少の原因となるのはどれか。2つ選べ」
という妊婦さんに適応禁忌となる薬剤を選ばせる国試頻出分野の問題ですね!
初め見たとき私も「過去問通り!」と思いましたが、選択肢チェックをかけてみると意外と悩んでしまいました。
妊婦に適応禁忌の薬剤については教科書及び各予備校のテキストに必ず記載があるので各自チェックして下さい!(→日本産婦人科学会のサイトはこちら)
これらによると、まずbの副腎皮質ステロイド(ここではプレドニゾロンなどのコハク酸エステルを指すものとして扱います)、cのカルシウム拮抗薬(使用可能な妊娠週数に制限はあります)は妊婦にも使用可能な薬として知られているので、外すことができますね。
残った
d 抗甲状腺薬
e NSAID
はいずれも妊婦への使用禁忌(ないしは慎重投与)に該当する薬剤です。
私もここまでは知っていたのですが、本問ではこの中で「羊水過少の原因」となるものを選ばなくてはなりません。それぞれの薬剤使用時による胎児への影響としては…
a ACE-I:催奇形性および胎児毒性(胎児の低血圧と腎血流低下による羊水過少・FGR・腎不全)
d 抗甲状腺薬(チアマゾール):胎児の甲状腺機能低下、奇形の報告が散見される
e NSAID:胎児動脈管閉鎖、可逆的な腎機能低下による胎児尿産生減少→羊水過少
(参考:病気がみえるvol10 産科 第3版)
とありました。従って上記より、羊水過少の原因となるのは、
a ACE-I と e NSAID の2つとなりますね!(解答:a,e)
私はNSAIDの副作用のうち動脈管閉鎖は知っていたのですが、羊水過少をきたすことを知らず、誤ってしまいましたね…
よくよく思い返せば、NSAIDは成人に対しての使用時にも腎障害を起こし得る大変有名な薬剤でしたね!(参考過去問:108I71)
うーん、また詰めの甘さが出てしまう結果となりました。
膨大な量の暗記の中に加え、このように関連付けて多角的に解答する訓練も必要ですね…
そもそも暗記だけで乗り切れるような試験ではないので…!
日頃から「紐づけ」勉強を意識したいものですね!
以上です!
115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】