気ままなけんしゅー医のブログ

春から研修スタートの気ままな研修医のつぶやきブログです。

【115D15 全生活史健忘患者が保持している記憶】

 115D15の解説です。

これは、この私の誤答問題シリーズの中でも是非と復習・解説したい問題の一つです!

というのも、この問題を一目見たとき

『分からなさすぎて完全お手上げ状態』だったからです…!(笑)

『過去問(113F41)でベンゾジアゼピン睡眠薬の副作用で"前向健忘"というのが確かあったのは覚えているが…何?"全生活史健忘"だと…!?』

といった感じでしたね(笑)

まぁ知らないとさすがに選択肢見てもさっぱりでした。適当にaとbにマークして次の問題へ進んだのを覚えています。

ぜひ皆さんは正しい知識をつけて国家試験に臨んでくださいね!

では解説といきましょう!

「全生活史健忘患者が保持している記憶はどれか。2つ選べ

a 自分の名前

b 自分の年齢

c 家族との旅行

d 切符の買い方

e 日本で一番高い山の名前

解答d,e

 全生活史健忘についての参考資料は『全生活史健忘の1症例│山梨大学医学部』のものを今回は使用させていただきます。

症例報告なのでエビデンスレベル(EL)もそれ相応のものとご承知おきください。(国試でELの勉強をしている皆さんなら分かるはずです)

この資料によりますと

『全生活史健忘とは,ある特定の追想だけが障害される選択的健忘のうちで,社会的知識や一般的知識は保たれているにもかかわらず,主に自己の生活史に密接に関係する記憶を失う状態をいう』

とありますね。

つまり、あらゆる記憶の中で、『自分に関わる記憶のみ』が失われる状態

のことなんですね。

これをもとに選択肢を見てみると

a,b,cは全て当事者、つまり自分自身に関わる記憶といえそうですね。例えば、c家族との旅行はその典型といえそうです。

一方、d,eの切符の買い方、日本で一番高い山の名前は、社会的・一般的知識であり、自分(つまりある個人)に関わる記憶ではなさそうですね。

道行く人誰に尋ねても、d,eは同じ答えが得られるはずですが、a,b,cに関しては人それぞれ違うはずですよね。

今回設問では、「全生活史健忘患者が保持している記憶はどれか。」と問われているので

解答は、d,eの切符の買い方、日本で一番高い山の名前

となるのですね!

なんとも、言葉の定義さえ分かっていれば、難なく解ける問題でしたね…(笑)

 

ところでこの”全生活史健忘”ですが、さきほど挙げた症例報告の文中によると、

「わが国において40余例の報告を見るにすぎない、まれな疾患」

だそうですね…

こんなマイナーな疾患も堂々と国試では一般問題で出してくるのですね(笑)

今後もこういった問題は出題が続くと思われます。

何度もお伝えしている通り、過去問を中心に知識を強化をはかっていく必要がありそうですね!

以上です!

 

115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】