【115D22 術後発熱の原因とその対応】
さて今回は整形外科術後管理についての問題ですね。
近年の国家試験では、特に臨床問題を中心にこのように実臨床での対応を問う問題が非常によく出題されていますね!
MECのカリスマ講師、Dr孝志郎も
『ポリクリの達成度』
と強調して説明されていますね。
5,6年生の医学生は臨床実習を通して幅広い知識を身につけたいものですね!
さて問題解説といきましょうか。
【115D22 問題解説】
「75歳の女性、左変形性膝関節症に対して人工膝関節全置換術を受けた。翌朝発熱。意識清明、体温37.4℃、脈拍 92/分、整、血圧 96/50mmHg、呼吸数 98%、白血球 9,800、CK 350 U/L、CRP 8.7mg/dL、創部に異常を認めない」
今後の対応として適切でないのはどれか。
a 離床
b クーリング
c 解熱剤投与
d 広域抗菌薬投与
e リハビリテーション開始
解答:d
問題をまとめるとこういった感じでしょうか。
こういった問題は参考文献が非常に探しにくいのですが申し訳ありません。今回はネットに転がっていたこちらの記事を参考にさせて頂きます。(→術後感染症診断は意外に簡単 診断の大原則 )
これによると
術後の発熱の原因には大きく分けて2つあります。
・感染性
・非感染性
ですね。
感染性には主に尿路感染、肺炎、創部感染、カテーテル感染があります。
一方、非感染性では薬剤熱によるものや血栓など、さまざまな要因があります。
これらを鑑別する古典的な指標としては
・体温
・白血球
・CRP
があり
これにくわえてバイタルサイン(脈拍、血圧)が重要になってきます。
これをもとに本文を読み返してみます。
すると今回の症例では、『創部に異常を認めない』とはっきり記載がありますし、呼吸器感染症や尿路感染を疑う根拠に乏しいことがわかります。
また、体温37.4℃、白血球9,800、CRP8.7mg/dLと軽度上昇は認めるものの、明らかな感染徴候があるとは言いにくいですよね(CRPは術後8~9程度までは上がることがあるみたいです)
すると今回の症例の発熱の原因としては
感染性ではなく非感染性であると考えるのが自然ですね。
ここまで分かると解答を選ぶことはできそうです。
d 広域抗菌薬投与が誤っていることが分かりますね(解答:d)
感染状態にない患者に対しての広域抗菌薬投与は薬剤耐性の観点からも否定的であることはこれまでの国家試験でも取り扱われたことのあるテーマですね。
その他の選択肢に関しては、
血栓予防目的としてのa 離床
発熱への対症療法としてのb クーリング、c 解熱剤投与
といったように〇をつけることができそうですね。
おそらく今回の発熱の原因は、オペ前後に使用した薬剤(感染予防目的の抗菌薬?)に対する薬剤熱ではないかと私は考えます(あくまで推測ですが)
この問題に関しても、各予備校の正式解答が気になるところですね…!
以上です!
115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】