気ままなけんしゅー医のブログ

春から研修スタートの気ままな研修医のつぶやきブログです。

【115D4 心アミロイドーシスについて】

115D4の解説です。

さて、いよいよ試験も2日目、D問題(各論)の解説ですね!

実は、私このD問題の正答率が圧倒的に低いのです…(笑)

これは解説問題数をご覧いただければ、なんとなくわかるかと思います。

1日目が終わり試験のプレッシャーにもある程度慣れてきてしまったからなのでしょうか、、

しかしながら振り返って考えてみても、このD問題(各論)のブロックはこの115回医師国家試験の全ブロックの中で一番難しかったように感じます。

実際、試験中も何度も問題と選択肢を見返し、試験時間ぎりぎりまで見直しをしていたのを覚えています。

模試ではあまり感じたことがなかったのですが、2時間45分という制限時間も短く感じました。

休憩しにお手洗いに行く時間もなかったような…

このように感じていたのは私だけではないと信じて、問題解説へと移ろうと思います!

「心アミロイドーシスについて誤っているのはどれか」

という一般問題ですね。

心アミロイドーシスについては、111回国試の必修問題(111H33)でも出題されていますね。

また、アミロイドーシスに関しては、全身性アミロイドーシスとして様々な症状や所見を引き起こすことから、近年の国家試験でもよく出題されているテーマですね!

さて今回は中でも「心」アミロイドーシスについての知識が必要なので一つ一つの選択肢を吟味していく必要がありそうです。

参考文献は→『2020年度版心アミロイドーシス診療ガイドライン』です!

※以下記載のページに関してはこのガイドラインのページ数に合わせています。

このガイドラインを参考に解説していきますね!

115D4 「心アミロイドーシスについて誤っているのはどれか」

〇 a 二次性心筋症である

〇 b 心電図で低電位差を認める

〇 c 心筋生検が有用である

〇 d 左室拡張障害による心不全を生じる

✖ e 老人性全身性アミロイドーシスでは免疫グロブリンが心臓に沈着する

 

〇a:「鑑別を要する二次性心筋症(原因または全身性疾患との関連が明らかな心筋疾患)の1つとして心アミロイドーシスを分類」9ページ参照。と記載があります。

〇b:「左室壁の肥厚(左室肥大)を認めるにもかかわらず心電図上は低電位を呈する」27ページ参照。とあります。心電図上低電位であることは予後不良因子であることも報告されているみたいですね。

〇c:「生検によりアミロイドが検出された場合,(略)確定診断が得られる.」とありますね。40ページ参照。高齢者では実施困難な症例も多いみたいですが、やはり病理診断は非常に有用ですね。

〇d:17ページ表8「心アミロイドーシスを疑う臨床所見および検査所見」の中に「心不全症状│著しい心室拡張能障害」とありますね。拡張不全による心不全はきたすといえそうです。

✖e:12ページからATTRwtアミロイドーシス(旧病名:老人性全身性アミロイドーシス(SSA))についての記載がありますね。これによるとこの疾患において、心臓に沈着するのは免疫グロブリンではなく、「トランスサイレチン由来のアミロイド線維」であることが示されていますね。よってこの選択肢は誤りです。ちなみに免疫グロブリンが心臓に沈着するのは、「ALアミロイドーシス」ですね。これについては11ページに記載があります。骨髄腫合併ALアミロイドーシスは有名なのではないでしょうか。

と解説は以上になります。

ちょっとQBっぽく作ってみましたがいかがでしょうか?

心アミロイドーシスについてここまで突っ込んだ内容を聞いてくるとは、国試の出題委員の方々もなかなかですね…(笑)

先にも述べたように心アミロイドーシスに関しては直近の国試でも問われていたテーマなだけにしっかりと解答したいところではありましたね…!

以上です!

 

115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】