気ままなけんしゅー医のブログ

春から研修スタートの気ままな研修医のつぶやきブログです。

【115E35 腰椎椎間板ヘルニアの症候】

115E35の解説です。(正答率61%)

さていよいよE問題の解説ですね。

今年の必修問題はふたを開けてみたら平均点も高く113回、111回と比べると大きく合否を分けたとまではいかないものの

それでもやはり試験中は緊張するものですね…

一日目のBブロックの感触があまり良くなかったために、試験が始まる前はとにかくミスしないようにと気を付けて臨んだのを覚えています。

実は感触だけではこのEブロックの方ができた気がしたのですが、点数はEブロックの方が悪かったのです(笑)

過信してはいけませんね。余裕も大切ですが、丁寧さももちろん大切です。

間違えても良いと割り切るメンタルと一点も落とさないように心がける姿勢は両方持っておくべきだと気づかされました。

 それでは、今回の115E35の問題を見ていきましょう!

 

問題は非常なシンプルな作りです。

所謂「ぎっくり腰」に近いのかもしれませんが、MRIでヘルニアを認めているので

急性腰椎症ではなく、腰椎椎間板ヘルニアと診断されますね。

本問で問われているのは、この腰椎椎間板ヘルニアの症状ですね。

腰椎椎間板ヘルニア│日本脊髄外科学会』を参照しながら確認していきましょう。

〇a 疼痛性跛行:ヘルニアによる神経圧迫症状によって腰椎脊柱管狭窄症同様の疼痛性跛行が出現することもあるようです。よって〇
✖b 会陰部の異常感覚:これは腰椎脊柱管狭窄症の馬尾症状ですね。高度のヘルニアではこの馬尾症状が出現することもあるみたいですが、本問のようにL4/5のヘルニア程度で馬尾症状が出ることはなさそうです。従って✖です。
〇c 右下腿外側の感覚鈍麻:c~eはL4/5で認められる特徴的な所見ですね。神経根症状です。
〇d 右母趾背屈筋力の低下:c同様です。下のイラスト参照してください。
〇e 右下肢伸展挙上テスト陽性:腰椎ヘルニアの有名な所見ですね。下記URLからも参照可です。

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参照元https://tsunepi.hatenablog.com/entry/2017/02/02/000000

 

以上より

解答はb 会陰部の異常感覚となります(解答:b)

 

いかがでしょうか…

私はaとbで悩んだ挙句、結果aを選択してしまい誤答してしまいました。

それぞれの症状の成因をよくよく考えれば、この問題では馬尾症状ではなく神経根症状が主体であると考え、aを〇、bを✖とシンプルに答えることができました。

このあたりの理解が甘く、誤答の許されない必修問題で結果として間違えてしまいました。

それぞれの疾患の症候を考える際に、なんとなく暗記するのではなく

その症候が一体どういう機序で起こるのかといったところまで丁寧に勉強することで様々な問題に対応する力がつくと考えます。

この力は実臨床においても役立つこと間違いありません。

鑑別を考える際に患者さんの訴える症候の成因を考えることで検査や診断に結び付けることができるからです。

初めは調べながらで構わないのでこれから国家試験の過去問を解く際には、それらの問題で出てくる患者さんの症候の一つ一つを丁寧に理解していきたいものですね。

わたしもこれからの研修生活の中で上記のことに気を付けて診察できればと思っております。

共に頑張っていきましょう!

それでは以上です!

 

 115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】