気ままなけんしゅー医のブログ

春から研修スタートの気ままな研修医のつぶやきブログです。

【115E43 ペースメーカー植え込み患者の心電図所見】

ハートビート, パルス, ヘルスケア, 医学, 中心部, 医療機器, 機器, 脈動, 波

115E43の解説です。正答率81%

さて前回、115E35の解説でも述べたようにこのEブロック(必修)では、必修臨床問題をこの問題含め2問落としてしまう結果となってしまいました…

感触では、初日のBブロック(必修)の方が悪く、このEブロックの方がよくできた気がしていたので、採点後は少し落ち込みました。

もともと必修問題は得意としておらず、特にこの臨床問題(1問3点)は配点も高くいつもドキドキしながら問題を解いていたのを覚えています。

いくら必修とはいえ、難しい問題は難しいですからね…

模試でも、ミスも含めて複数問落としてしまうことも多く非常に注意して本番は取り組んでいました。

さて今回解説する問題は、一見なんて事のない心電図読み取り問題ですが

変に考えて解答終了直前に選択肢を変更した結果、間違えてしまった1問です。

よくマーク試験は、「最初の自分の選択肢を信じろ」といいますが、

その言葉の通りに誤答してしまうこととなってしまいました…

先人の教えに習うべきでしたね(笑)

詰めの甘さが誤答につながってしまったように思います。

長くなってしまいましたが、どんな問題だったのかを一緒に見ていきましょう!

 

高齢男性、主訴は発熱と左側胸部痛です。感冒の既往と呼吸に伴い増悪する側胸部の持続性の疼痛を認めますね。

不整脈、弁膜症、心不全、高血圧など心疾患の既往がたくさんある患者さんです。

体温上昇はあるものの意識、血圧、呼吸数等のバイタルは比較的保たれており、緊急の対応が必要とまではいかなさそうです。

身体診察では、左下胸部の濁音、聴診にて呼吸音減弱、胸膜摩擦音を認めます(視→聴→打→触の順では順番が逆な気がしますが…)

また、心音ではⅢ音と心尖部を最強とするLevine 3/6の全収縮期雑音を聴取し、僧帽弁逆流(MR)の存在を示唆しています。

以上の所見より、最も考えられる疾患としては

胸膜炎

が挙げられそうです。(確定診断には画像検査等必要ですが今回の問題を解くうえではそこまでは不要です→ちなみに115E44では血液検査所見から「考えられる疾患は?」と問われており、解答は胸膜炎となっております。)

確認のため、胸部エックス線写真(B)を見てみると

左右CP angle(costophrenic angle 肋骨横隔膜角)が鈍角(dull)より胸水の貯留を認めています。また心陰影の拡大も認めており、これはMRによる心不全によるものと考えられそうですね。

 さて今回の問題で問われているのは、心電図(A)の所見であり、今まで述べてきた内容とはあまり関係がありません。

それでは、心電図(A)を確認してみましょう。

まず心電図を読む際に確認すべきは調律ですが、R-R間隔は一定で問題文中にも脈拍60/分、整と記載がありますね。

よって洞調律かと思うと、違いますね。

本患者は徐脈性心房細動に対して、ペースメーカー植込み術を受けており、Xpでも確認できます。

それをもとにもう一度よく心電図を読んでみると、

QRS波の前に縦線(│)が入っているのが見えますね。(Ⅱ、Ⅲ誘導、V3~6あたりが見やすいです)

これはペースメーカーの電気信号を示すスパイクといいます。

このスパイクの直後にQRS波が生じており、心室が収縮していると考えることができるため、本問の解答は

心室ペーシング(解答:c)

となります。

ちなみにペースメーカーの設定には、VVIモード、VDDモード、DDDモード…と

ペーシングする位置、感知する位置、抑制・同期の有無によってモードが分けられていますが

心電図(A)ではおそらく、はっきりとしたP波が見当たらず、心室(V)のみのペーシングである点から、

VVIモードであると考えます。(違う意見あったら教えてください)

本問を解くのに必要ないと思いますが、気になる方は→参考:ペースメーカーの心電図│看護Roo!

 

いかかだったでしょうか。

私はこのスパイクについての理解が甘く、心房細動に対してのペースメーカーだから心室ペーシングではなく心房ペーシング?と変に考えてしまった結果間違えてしまいました。
DDDモードのペーシング等を一度でも見れば、心房ペーシングと心室ペーシングは全く別物だと分かると思います。

心電図読影に関しては、異常所見を見抜く力も必要ですが、正常心電図に慣れ、このようにペースメーカーが植え込まれている症例の読影の経験も積む必要もありそうです。

学生のうちから、多くの心電図に触れることはなかなか難しいですが、病院実習や国家試験の過去問演習の際には積極的に読影してみることをお勧めします。

私自身も苦手意識が強い心電図ですが、食わず嫌いをせずに読んでいきましょう!

以上です!

 

115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】