【115F59 シックハウス症候群の原因】
さあこの『115回医師国家試験 誤答問題全問解説シリーズ』も残すところ、あと2問となりました!
時間はかかりましたが、コツコツ書いていって終わりが見えてくると達成感すら感じてきます。
残りも全力で解説していきますので、もしよろしければご覧になってください!
さて、今回解説する問題は、正答率なんと21%!と「超」がつくほどの難問・割れ問となっております。
臨床問題にしては文章も短く、国試終盤の疲れた頭には優しい問題かと思いきや、
「なにこれ…全然わからないぞ!」
と心の中で叫んだ記憶があります。
問題を見て頂ければ分かると思いますが、臨床問題というより、むしろ知識問題のような作りで
そもそも医師の国家試験で必要とされる知識なのかも怪しい、公衆衛生分野からの出題ですね。
公衆衛生が必要ない、というわけではなく
ここまで細かい知識が本当に必要なのか、という意味です。
さて、どんな問題だったのか早速確認していきましょう!
【115F59 問題解説】
52歳男性。目がチカチカ。自宅にいる時に症状出現し、頭痛・めまいも伴う。5か月前に自宅を改築した。眼球結膜に軽度の充血を認める。
とあります。
病歴からは明らかに、「シックハウス症候群」と分かりますね。
シックハウス症候群についてはこちら→”生活環境におけるシックハウス症候群│厚生労働省”
さて、今回問われているのは
「本患者の症状(シックハウス症候群の症状)の原因として考えられるもの」ですね
シックハウス症候群の原因について正しく理解している必要があります。
先ほど紹介した、厚生労働省のホームページによると
シックハウス症候群の原因として
・建築材から発生する化学物質
・細菌
・カビ
・ダニ
・一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質(石油ストーブ、ガスストーブから)
・たばこの煙
などが挙げられています。
これに照らし合わせて選択肢を吟味すると
a カビ
b ダニ
e 揮発性有機化合物
が該当することが分かります。解答:a,b,e
揮発性有機化合物とは、大気中で気体状となる有機化合物の総称で、
トルエン、ベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなどを指し、溶剤、燃料として使用されています。
石油ストーブやガスストーブ使用の際に発生しますね。
従って解答のうちの1つに入ります。
他の選択肢
c 紫外線
d 浮遊粒子状物質
はシックハウス症候群の原因としては関係ありません。
浮遊粒子状物質とは大気中に浮遊する粒子状物質のことで、工場や建設現場で生じる粉塵などが該当します。
その中でも粒径が2.5μmのものをPM2.5というのですね。
昔、中国からPM2.5が飛来している。というニュースが報道されて世間を賑わせていましたね。
大気中の粉塵みたいなもので、新築の家で起こりやすいシックハウス症候群とは無関係ですね。
紫外線にいたっては、家にいるとむしろ回避することができますね。
おそらく、このcとdの選択肢は
「家の中じゃなくて、外に出ると問題になりうるよ~」
というメッセージだったのかもしれません。
そう考えるとシック”ハウス”症候群とは関係ないのも頷けます。
さて、どうだったでしょうか
国家試験では、得点調整上の問題なのかわかりませんが、
時折こういった類の知らないと絶対無理な問題が出題されます。
過去問として演習する際は、きちんと理解しておくべきですが、
新出で本番出題されてしまった場合は切り替えて次の問題へと進んでいきましょうね!
以上です!
115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】