気ままなけんしゅー医のブログ

春から研修スタートの気ままな研修医のつぶやきブログです。

【115F31 ウイルスに初感染した際に感染初期から働く免疫担当細胞】

ウイルス, Covid, 科学, Covid19

115F31の解説です。正答率73%

さていよいよFブロックの解説です。

長かった2日間の試験も泣いても笑っても最後のブロックとなりました。

特に勝負の必修が終わりホッとしている中、最後の問題が配られているときには頭がぼうっとしたのを覚えています。

ただ、まだ試験が終わっているわけではなく、

禁忌問題も含め、最後まで気を引き締めて解くことを心掛けました。

Fブロックを解いた感想としては、私自身、初日のCブロックの方が難しく感じました(ふたを開けてみたらFブロックの方が悪かったのですが…(笑))

特に公衆衛生の問題は、割れた問題も数問ありましたが

それでも基本的には解きやすい問題が多く、一般問題では余裕を持って解答できた気がします。

過去問の焼き直しが多く、「100年変わらないテーマ」が出題されるといわれる総論問題(C,Fブロック)

順番に問題を見ていきましょう!

 115F31問題はこちら

総論一般問題では毎年必ずと言っていいほど出題されるテーマである

免疫アレルギーの分野の問題ですね。

日本でも、2018年にニボルマブオプジーボ)の研究で本庶佑さんがノーベル生理学・医学賞を受賞したことは皆さんも記憶に新しいことかと思います。

古くより免疫アレルギー分野の研究が盛んな日本においては、その国の試験である医師国家試験でよく出題されるのもうなずけます。

医学一般知識としても、最新トピックとしても注目されているこの分野に対しては万全の対策が必要となりそうですね。

今回問われているのは

「ウイルスに初感染した際に感染初期から働く免疫担当細胞はどれか。」

今回参考にしたサイトは→『自然免疫-日本がん免疫学会』です。

これによると

”病気を起こす細菌(ばい菌)やウイルスが私たちのからだの中に入ってくると、免疫細胞が反応してこれらの病原微生物をやっつけます。このとき、免疫反応はまず自然免疫、次いで獲得免疫という2段階で働きます。”

つまりウイルスに初感染した場合には、自然免疫がまず働きます。

したがって、本問も自然免疫系の免疫担当細胞を選択すれば良いのですね。

自然免疫系には、マクロファージ、顆粒球(好中球など)、NK細胞などが含まれます。

よって解答は

c NK細胞

e マクロファージ (解答;c、e)

となります。

他の選択肢は全て、獲得免疫系の免疫担当細胞ということになります。

先に紹介したサイトにも記載がありますが、

「自然免疫 → 樹状細胞 → 獲得免疫」という流れが免疫反応の骨格となるのですね。

こう考えられれば難なく解答することができそうです。

私自身、細菌とウイルスでもしかしたら反応が異なるのかもしれない、と難しく考えてしまいテンパって間違えてしまいました。

2日間の試験の疲れもあったのかもしれませんが、もう少し冷静になるべきでした。

 

ところでこの問題が出題された背景には何があるのでしょう。

問題を解きながらピンときた方も多いかと思いますが、

そう、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行ですね。

 

この115回の医師国家試験のちょうど一年ほど前(2020年3月頃~)に新型コロナウイルスについてのニュースが報じられました。

その後、国による緊急事態宣言の発令を受け、臨床実習(ポリクリクリクラ)の一部・全面中断、中止を余儀なくされたことで十分な実習経験を積むことができず苦い思いをした受験生も多かったことと思います。

私もその一人です。

医学においては机上の学習が重要なのはもちろんですが、実際の臨床現場での経験や体験が大きく記憶に残り自分自身の糧になるからと考えるからです。

また、特に近年の医師国家試験では臨床重視の問題が増えており、試験対策の面でも臨床実習の重要性は増していると言えそうです。

まだまだ今後の見通しも立ってはいない状況ではありますが、医学生の皆さんはマスコミやメディアの情報を盲信せず、客観的な情報を基に冷静に行動していただければと思います。

私も日々臨床の現場で学びを続けていければと思っております。

共に頑張っていきましょう。

後半長くなってしまいましたが

解説は以上になります!

 

115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】