【115D12 中枢神経原発悪性リンパ腫について】
さて今回はD問題(各論)の多選択肢問題ですね!
多選択肢問題については「こちら」でもお話ししましたが、やはり2つの解答を自信もって選択するのはなかなか難しいのですね。
確率論的にも単選択肢問題と比べて正答しにくいのは明らかですよね。(確実な選択肢が1つでもあれば別ですが…)
今回の問題も一つ目の選択肢までは選べた人が多かったと思いますが、問題はもう一つの選択肢を選べたかが勝負を分けたようですね。
解答速報時の正答率も20%強だったことから、明らかな割れ問といえそうですね。
さて解説に移りましょう!
【112D12 問題解説】
「中枢神経原発悪性リンパ腫について正しいのはどれか。2つ選べ」
a 若年女性に好発する。
b 初発症状にぶどう膜炎がある。
c 大部分はB細胞性リンパ腫である。
d 診断時に約半数で全身転移を認める。
e 副腎皮質ステロイドは根治的な治療薬である。
解答:b,c
中枢神経原発悪性リンパ腫については112A40でもすでに出題があります。
112回当時のこの問題の正答率は26%と多くの受験生に馴染みのない疾患だったのでしょう。
今回は一般問題ということで、この疾患に関する総合的な知識が求められています。
順番に解説していきましょう。
中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)については、『脳腫瘍診療ガイドライン2016版│日本脳腫瘍学会』が参考になるのでこちらから引用しました。
✖a:50~70歳代の高齢者に高頻度でみられる(60歳以上が62%)とあります。
〇b:PCNSLではしばしば(約10~20%)眼球内リンパ腫を認める。とありますね。約半数の症例で霧視感、視野・視覚異常といったぶどう膜炎症状を認めるみたいです。
〇c:95%以上のPCNSLは非ホジキンリンパ腫でB細胞由来である。とありますね。
✖d:そもそもPCNSLは診断時に中枢神経外に他の病巣を認めない中枢神経系に限局した節外性リンパ腫を指す、ようです。全身転移症例もあるみたいですが、診断時に約半数で全身転移を認めるということはなさそうです。
✖e:副腎ステロイドの使用に関してはこちらに記載があります。ステロイドは治癒的効果に乏しく、治癒目的の単独使用は推奨されない(推奨グレードC2)のですね。ちなみにPCNSLに対しての治療としては、112A40で大量メトトレキサート投与が解答でしたよね。
以上より解答はb,cとなります!
いかかでしょうか、115D4といい115D12といい115回のDブロックは、一般問題から既に細かな知識を問われており、内心パニック状態でした(笑)
次回解説予定の115D15も『知ってたら解ける、知らないと解けない』といった内容の問題だったので
詰めの甘かった私にとっては非常に厳しい結果となってしまいました。
過去問対策に加え、周辺知識の強化…
各予備校素晴らしいテキストが出版されていると思いますので各自『詰め』をしっかりしていきましょうね!
以上です!
115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】