【115B7 終末期膵臓癌の患者の在宅医療】
今回は必修問題の振り返りですね!
2021年現在の医師国家試験は一般・臨床問題と必修問題に分かれており、前者は相対評価で合否が決まるのに対し、後者の必修問題は絶対評価で160/200以上(8割以上)の得点をとらないと不合格になってしまうのでしたね。
問われる内容は、臨床主要疾患の症候や病態はもちろん、検査所見や身体診察の手順・方法、公衆衛生分野から医学一般常識と幅広く出題されます。英文問題も近年はマストで出題されていますね。
「必修」問題というのだから簡単なのでは…?
と甘く考えていると足元をすくわれます。
正答率が90%を大きく超える問題が多く出題される一方、正答率70~80%、また年によっては25%前後の明らかな「割れ」問題が出題されてしまうこともあります。
相対評価で採点される一般・臨床問題なら「みんなも間違えるだろうし気を取り直して次の問題へ♪」とスルー出来るのですが、
絶対評価で採点されてしまう必修問題では周りは関係なく、あくまで自分の得点が8割を超えなくてはならないので「絶対得点せねば…!!」となってしまいます。
さらに必修問題の中にも一般問題と臨床問題が分かれており、
必修一般問題:1問1点 50問 計50点
必修臨床問題:1問3点 50問 計150点
と、必修臨床問題の配点が圧倒的に高く計算されてしまいます!
そしてこれが2日間、食後の昼過ぎから始まるのです…
試験会場でも必修問題の試験開始前はやっぱり空気がピリッとしていたように感じました。
この必修問題のプレッシャーたるや…
私も必修問題が苦手だったので非常に緊張していたのを覚えています。
ただ皆さんならきっと大丈夫!このブログの解説をみて自信をつけてくれればなぁと心より思っています!
正しい勉強をすれば必修問題も怖くない!ということです。
さて話が長くなってしまいましたね!解説に戻ろうと思います。
【115B7 問題解説】
今回の問題は
「終末期膵臓癌の患者の在宅医療」についての問題ですね。
解答速報時正答率も90%を超える問題でしたが私は間違えてしまいました…
こういうこともちょこちょこあるのですね…(笑)
公式解答は d
在宅医療に家族の同居は必須ではありません。在宅医療を始める際の確認事項として同居家族の有無についてチェックすることはありますが、独居でも利用は可能です。
もちろん家族の同居がある方が望ましくその場合には同居家族のサポートが必須ですが、これはサポートが必須なのであって、同居家族が必須というわけではないので注意が必要です。
私はここを勘違いしてしまいdを外してしまいました。
冷静に考えたら当たり前ですよね…(笑)
私は、誤ってaを解答してしまいました。
介護保険の適応年齢と適応疾患についての知識があいまいだったのですね。
『介護保険制度について│厚生労働省』によると
介護保険の被保険者には
65歳以上の方(第1号被保険者)
40~64歳の方(第2号被保険者)
と分けられており
第1号被保険者は原因を問わず要支援・要介護認定を受けたときに介護サービスを受けることができる一方、第2号被保険者は加齢に伴う疾病(特定疾病)が原因で要支援・要介護認定を受けたときに介護サービスを受けられます。
加齢に伴う疾病(特定疾病)とは
1.がん(末期)
2.関節リウマチ
4.後縦靭帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
の16種類があります。
本問は52歳男性であることより第2号被保険者に該当し、
膵臓癌の終末期であることより特定疾病の1.がん(終末期)に該当するため
介護保険の申請が可能なんですね。
なんとも本気で調べると意外と細かい内容でしたね。
ただ必修問題であることを鑑みると、このような細かい知識が必要かというよりむしろ、常識的にdの家族同居の有無が必須ではないということに気づけるかが大事でしょう。
必修問題は受験生の多数が選ぶ問題を選択し続ければ必ず合格点を超えます。
枝葉末節の知識をつけることに拘らず、問題や選択肢の雰囲気から解答する練習も必要ですね。
落ち着いて考える!これがいかに大切かを思い知らされた問題となりました。
以上です!
115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】