気ままなけんしゅー医のブログ

春から研修スタートの気ままな研修医のつぶやきブログです。

【115D55 Fabry病の臨床問題】

115D55の解説です。

さて今回解説する問題は失点してしまった中で最も反省しているものの一つです。

解答速報時の正答率:87%と高い数値を示していました。

本問の解答が正解となる問題は正直初めての出題でしたが、なぜそこまで得点率が高いのか…

それは「コクタマ」だと私は考えます。

コクタマといえば毎年、医師国家試験前日にMECからのメールで送られてくる直前予想のことです。

これが意外と的中するということで、受験生みな目を通して会場に向かうのですね。

そして今年は、この115D55が的中問題となりました。

なので正答率が、初出題にも関わらず高いのですね!

私ももちろん、このコクタマには目を通していたのですが

本当に目を通したのみでそこまでしっかりと覚えこんでいかなかったのです。

「あ、コクタマには書いてあった気がするが実際はどうなんだろう…」

と悩んで、結局間違えてしまったのですね。

みなと同じ勉強をすることはやっぱり大切です。

今回の反省ポイントNo1といえそうですね。

コクタマについて知らない方のためにリンク貼っておきますのでご確認くださいね!(115回医師国家試験用のものになりますのでご注意下さい)→(リンク(コクタマ)

さてそれでは解説に行きましょう!

 「28歳の女性。手足の痛みを主訴に退院した。小学5年生頃から運動時の手足の痛みや、暑くても汗が少ないことを感じていた。最近手足の痛みが増強して受診した。昨年の健康診断で初めて尿蛋白を指摘された。母と弟も手足の痛みを訴えているが、原因不明といわれていた。母の兄は透析を受けていたが、50歳で突然死した。」

「下背部と臀部に小型の紫紅色皮疹を認める。尿:蛋白1+」

最も疑われる疾患はどれか。

解答:a Fabry病(解答:a)

 

さて、本文は全文、身体所見・検査所見は異常部分だけ切り出してみました。

また解答もありきで解説しようと思っているので先に掲載させてもらいました。

 

Fabry病とは

α-ガラクトシダーゼの活性低下により、グロボトリアオシルセラミド(GL-3)が蓄積するライソゾーム病の一つで

X連鎖性遺伝であるが、かなりの頻度でヘテロ接合体の女性でも症状が出現する疾患。

(症状)

・思春期:四肢末端痛、低汗症、被角血管腫で発症

・30歳代:角膜混濁、尿蛋白

・30~40歳代:腎不全、脳血管障害、中枢神経症

・50歳代:心病変(心肥大、刺激伝導障害)

参考:year note2020

 

です。

ライソゾーム病とは脂質の分解をしているライソゾーム内に脂質が蓄積する疾患のことをさします。

つまり体の中のあらゆる臓器にゴミの脂がたまってしまうことで、各臓器が傷んでしまうのですね。

本来は、X連鎖性遺伝なので男性のみに発症する遺伝形式ですが、Lyon現象と呼ばれる理論によって女性でも発症しうるのですね。

「三毛猫がみんなメスである」というのと同じ話ですね。

染色体の異常が混ざり合ってしまうことで様々な症状を来すというわけですね。

これをもとに本文中と紹介した症状とを照らし合わせてみると

「若年女性」「手足の痛み」「汗が少ない」「下背部と臀部に小型の紫紅色皮疹(=被角血管腫)」と完全に一致していますね。

また、「母の兄は透析を受けていたが、50歳で突然死した。」という家族歴に関しても、腎不全→心不全での突然死。と考えるとつじつまが合いますね。

従って、解答はa Fabry病となります。

 

Fabry病についてもっと詳しく知りたい方は『ファブリー病診断ガイドライン2019』が参考になるかと思います。(かなり細かい知識なので国家試験対策にここまでは不要と考えます。)

 

さていかがでしょうか。

臨床症状をしっかりと押さえて入れば、本文中ほぼすべてがキーワードとなるとても親切な問題に見えますよね。

実はこの「Fabry病」が前日配信のコクタマメールの中に紛れていたのです!

この疾患について自分で調べておくことができた受験生は、難なく解答できたことでしょう。

一方、私みたいに鮮やかにスルーしてしまうとまったく解答することのできない難問へと様変わりしてしまいます。

ぜひ、皆さんは前者のようにアンテナを立て続けた状態で国家試験に臨んでほしいな、と思っております!

以上です!

 

115回医師国家試験、誤答問題の全問解説はこちら→【第115回医師国家試験、気ままな研修医による全問題解説】